日々思うこと

政治思想・哲学を中心に考察していきたいと思います。

陰謀論の起源と保守の起源およびトランプ・プーチン連合

 

イギリスのスコットランドにはエディンバラ大学という有名大学がある。この大学出身者には、イギリス経験論を完成させたといわれる哲学者のデイヴィッド・ヒューム推理小説シャーロック・ホームズ』シリーズで有名なコナン・ドイル、古典電磁気学を確立したジェームズ・マクスウェル、発明家のA・G・ベル、「ベイズの定理」で有名なトーマス・ベイズなどを輩出している。進化論のチャールズ・ダーウィンエディンバラ大学に通っていた。日本の保守派の中では中野剛志氏もこの大学に留学している。

このエディンバラ大学に、日本ではなじみの薄い一人の物理学者・自然哲学者ジョン・ロビソンという人物という教授がいたのだが、ここではまずこのジョン・ロビソンについて言及する。

ジョン・ロビソンは物理学者・自然哲学者としての生涯を生きていたにも関わらず、今日特にその名が刻まれているのは、最初期の陰謀論者としてである。

ジョン・ロビソンはフランス革命におけるジャコバン派の活動がイルミナティによる陰謀であるということを著作に残したことで有名なのである。

イルミナティとは秘密結社フリーメイソンリーの中から誕生した組織であり、バヴァリアン・イルミナティともイルミナティオルデンとも呼ばれている。

イルミナティの創設はアダム・ヴァイスハウプトによってなされ、ユダヤ人銀行家のロスチャイルドが関わっていたと言われている。

繰り返しになるが、フリーメイソンリーおよびイルミナティの名前は、西欧保守思想の祖とされるイギリスの政論家・政治家エドマンド・バークも言及している。厳密にいえば、フリーメイソンリーおよびイルミナティフランス革命への関与については実はバークの方が早い。

ジョン・ロビソンの『陰謀の証拠』は1798年の出版であるが、エドマンド・バークは『フランスの国情についての考察』(1791年)において既にフリーメイソンリーおよびイルミナティの関与について言及しているのである。

バークのフリーメイソンリーおよびイルミナティの言及はまず第一にポーランドの王位継承に絡んだ言及の中で登場し、第二には神聖ローマ皇帝への関与について言及している。

バークは繰り返し有名な『フランス革命省察』のなかで、ユダヤ人のフランス革命への関与およびイギリスにおける扇動工作を糾弾しているが、これは現在のトランプ大統領の背後で暗躍するQ情報拡散計画における内容とほとんど一致している。

トランプ大統領が真の保守であるのかどうかの議論はここではしても仕方がないことだが、いずれにせよ、フランス革命以来続く、グローバリストたちの革命運動への反対運動あるいは反革命という意味では、彼の活動はエドマンド・バークに連なっている。それは同時に物理学者で自然哲学者のジョン・ロビソンの陰謀論にも連なるものである。

このジョン・ロビソンの著作を巡って、アメリカのフリーメイソンリーで初代大統領のジョージ・ワシントンも言及している手紙を残しているということは非常に興味深い。少なからずフリーメイソンリージョージ・ワシントンフリーメイソンリーの中で暗躍しているイルミナティの存在と、その邪悪な活動については知っていたものと思われ、彼はアメリカのフリーメイソンにはイルミナティが紛れ込んでいないことを手紙の中で言及している。

ワシントンの言及の真偽のほどは定かではないが、フリーメイソンリーのワシントンに対しては今でも、イルミナティとの関りについて肯定・否定の両論が存在しているようである。

現在アメリカにおいて主流の考え方だが、現在のアメリカがイルミナティをはじめとするディープ・ステートに乗っ取られたのは1913年であるとされている。

ロスチャイルドを中心とするイルミナティとの関りの深いと思われる銀行家たちは1913年のクリスマスの時期に、連邦準備銀行アメリカの中央銀行)の創設に成功している。ウィルソン大統領の時代である。

1918年の彼の『十四か条の平和原則』によって国際連盟が設立される道が開かれ、実際にはアメリカは加盟しなかったが、国際連盟の設立には彼の背後にいる人間たちの影響が非常に強く働いていた。

日本の軍人で、『シオン賢者の議定書』を翻訳した四王天延孝は、国際連盟について、『国際連盟の実情』(1933)の中で、秘密結社のユダヤ人ばかりが主導していることを見抜いていた。

アメリカは第一次世界大戦の頃にはディープ・ステートに乗っ取られていたとされ、ロシアもまた1917年のロシア革命においてユダヤ人革命家たちに国家を明け渡すことになった。1920年設立の当時の世界政府に近い国際連盟もまた彼ら秘密結社によって設立されたと見るのが普通であろう。

そして1945年に、全世界で最後にこの勢力に大日本帝国が屈服したというのが、私たちが教えられなかった本当の歴史だったのである。

日本の保守派の論客で元ウクライナ大使の馬渕睦夫氏は、ロシア革命からユダヤ人による世界乗っ取り活動が始まったとしているが、実際は更に1世紀以上も前から既に始まっていたというのが実情であろう。その代表となる革命がフランスで起こったあの大革命である。

フランス革命において、その背後から革命家たちを支援していた人物にはオルレアン公ルイ・フィリップ2世(平等公フィリップ)がいる。平等主義とは善も悪もすべてが平等になるという主張でもあり、これは理想主義であるというよりも謀略的思想に近い。つまり世界を善意から悪に染め上げるために掲げられる最初の第一声なのである。日本国内にも平等主義者は様々な場に存在するが、彼らが善意から平等主義を唱えていない可能性については無視すべきではない。

さて、このオルレアン公だが、フリーメイソンリーのグランド・マスターである。先ほど述べたが、ポーランドにも、神聖ローマにも、彼らフリーメイソンリーおよびイルミナティが暗躍し、国王や皇帝に公然の秘密の儀式を授けていたことは指摘した。

当然に革命の舞台であるフランス国王の周りにも、彼らフリーメイソンリーおよびイルミナティが活動していたというのは疑いようがない。

これはあまり事実関係がはっきりしているわけではないが、ジョン・コールマン博士によればフランス革命の背後にはイギリスのホイッグ党の元首相であるシェルバーン伯爵が関与していたとされる。西欧保守思想の祖とされるエドマンド・バークホイッグ党であるが、フランス革命を契機にホイッグ党は大きく二つの派閥に分裂する。一つはバークをはじめとした反革命派であり、もう一つはフォックスを中心とした革命派である。

恐らくトーリー党およびホイッグ党右派が反革命を選択しなかった場合、フランス革命はイギリスにも拡大していた可能性は小さくない。しかしながら、この後イギリスはナポレオン皇帝の時代にワーテルローの戦いの結果、戦争に勝ったにも関わらず、ロスチャイルドに富を簒奪されたと言われている。

このようなフランス革命が勃発して以来、現在に至るまで、フリーメイソンリーおよびイルミナティの暗躍は欧米を中心に活発化していたのだが、トランプ政権の樹立およびイギリスのブリグジットによってグローバリズムによる活動に暗雲が立ち込め始めている。

人種の坩堝として、多文化主義を徹底的に推進されてきたWASPアメリカでは、未だかつてないほどにナショナリズムが台頭してきている。

これまでジョージ・H・W・ブッシュビル・クリントンジョージ・W・ブッシュバラク・オバマと四代続いてアメリカ大統領は完全なディープ・ステートの傀儡であったと言われているが、この歴代大統領については、きわめて多くの疑惑が現在上がっている。それはトランプと大統領選を戦ったヒラリー・クリントンについても同様である。

秘密結社には、フランス革命以来変わらずといったところもあるが、人身御供やカニバリズムといった行為、更には児童への性的虐待についての疑惑が数多く上がっている。

フランス革命期にあって、イギリスのシェルバーンやユダヤ人によって支援されたとされるダントンやマラーもまたこのような疑惑が存在しており、ダントンに至っては、敵の血を飲むことについて肯定的に論じた文章も残っている。このような風習は、欧米ではユダヤ人たちの過越祭を思い起こすものである。

さて、この度は、過去に取り上げたことをまとめると同時に、そこにフランス革命期にイギリスのエディンバラにあって、既に陰謀論が提示されており、それが今日の陰謀論の出発点となっているという点、実際にはそれよりもはやく西欧保守思想の祖とされるエドマンド・バークがそれを既に論じていたということを紹介した。

そしてこれがロシア革命、ドイツ革命、今日のアメリカのトランプ政権およびロシアのプーチン政権の反グローバリズムおよび反フェイクニュースへと連なっているということを指摘した。

非常に長い歴史の中で、イルミナティによる謀略は進められ、現在イルミナティについてのフェイクニュースも膨大に存在し、何が本当なのか分からない、あるいはすべてが陰謀論・カルトに見えるように仕立てられているが、実際に歴史的資料を丹念にあたることによって、私たちの誤謬や妄想を取り除くことはある程度可能なことのように思える。ただし、恐らくだが、完全に正しい答えにはたどり着けないだろう。

いずれにせよ、今後のトランプ政権の、対秘密結社の戦略については、見逃すことができないほどに興味深いものとなるものと思われる。そのベースには情報機関による情報工作による戦いが主なものとなるだろう。