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【政治・経済用語集001】東アジア地域包括的経済連携(RCEP)

2013年03月22日
【経済用語】東アジア地域包括的経済連携(RCEP)

目次

 

 


www.meti.go.jp


1、概要

 

RCEP(Regional Comprehensive Economic Partnershipの略、アールセップ)は、日中韓印豪NZの6カ国がASEANと持つ5つのFTAを束ねる広域的な包括的経済連携構想であり、2011年11月にASEANが提唱しました。その後、16カ国による議論を経て、2012年11月のASEAN関連首脳会合において正式に交渉が立上げられました。

 

RCEPが実現すれば、人口約34億人(世界の約半分)、GDP約20兆ドル(世界全体の約3割)、貿易総額10兆ドル(世界全体の約3割)を占める広域経済圏が出現します。

 

2、会合の結果

 

2012年8月、RCEPについて議論するために、ASEAN+FTAパートナーズ経済大臣会合が初めて開催されました。

 

これまでは、東アジア地域における経済連携については、東アジア(ASEAN+6)経済大臣会合及びASEAN+3経済大臣会合において議論されてきましたが、RCEPの議論が本格化したことを受けて、RCEPについては新たにASEAN+FTAパートナーズ経済大臣会合を立ち上げて、議論することになりました。参加国は、ASEAN10カ国に加えて、ASEANFTAを締結している日中韓印豪NZの6カ国のあわせて16カ国です。

 

ASEAN関連首脳会合(2012年11月20日カンボジアプノンペン

 

ASEAN関連首脳会合において、RCEP交渉開始式典が開催され、16カ国の首脳が「RCEP交渉の基本指針」を承認、RCEP交渉の立上げを宣言しました。

 

RCEP交渉立上げ宣言文


RCEP交渉の基本指針

 

第1回ASEAN+FTAパートナーズ大臣会合(2012年8月30日、カンボジアシェムリアップ

 

第1回ASEAN+FTAパートナーズ大臣会合においては、16カ国は、物品貿易、サービス貿易、投資の自由化に関する検討の進捗を確認するとともに、RCEPの交渉の目的や原則を示した「交渉の基本指針」をとりまとめ、同年11月の首脳会議における交渉立ち上げを目指すことに合意しました。

 

3、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)

 

1.RCEPの概要

RCEP(Regional Comprehensive Economic Partnershipの略、アールセップ)は、日中韓印豪NZの6カ国がASEANと持つ5つのFTAを束ねる広域的な包括的経済連携構想であり、2011年11月にASEANが提唱したものです。

 

2.RCEP交渉開始までの経緯

 

ASEAN+3

 

2002年にEASG(東アジアスタディーグループ)が東アジアの共同体実現に向け、短期的/中長期的に実現すべき具体的方策をとりまとめ、そのうち、中長期的に実現すべき項目として「東アジア自由貿易地域(EAFTA)」が掲げられました。この方策を元に、2005年4月には、EAFTAの共同専門家研究会が開始され、第1、第2フェーズを経て2009年のASEAN+3経済大臣会合及び首脳会合で報告されました。

 

ASEAN+6

 

2005年12月、ASEAN+6を参加国とする「東アジア首脳会議(EAS)」が初めて開催され、EASがこの地域における共同体形成に「重要な役割(significant role)」を果たすことなどを確認する共同宣言が発出されました。日本は、2006年8月、ASEAN+6の経済実態としての結びつきの強まりや、ASEANと日本・中国・韓国・インド・オーストラリア及びニュージーランドによるFTAの締結の進展により、16か国による「東アジア包括的経済連携(CEPEA)」構想の専門家研究会を提案しました。2007年6月からCEPEAの民間研究会が開催され、第1、第2フェーズを経て2009年のASEAN+6経済大臣会合及び第4回EASにおいて最終報告されました。この会合で、民間研究の成果を政府間で議論・検討するとの決定を歓迎し、EAFTA構想と並行して政府間の議論に移行していくことが確認されました。

 

ASEAN+3構想とASEAN+6構想の統合への動き、RCEP構想の誕生

 

2010年からは、ASEAN+3構想とASEAN+6構想を統合していこうという動きが見られました。具体的には、政府間における4分野(原産地規則、税関手続、関税品目表、経済協力)の作業部会での検討が開始され、2011年の経済大臣会合/ASEAN+3経済大臣会合及び同年の首脳会合に報告されました。


 さらには、自由化に向けた次なるステップとして、2011年8月のASEAN+6経済大臣会合において、日本は中国と初めて共同で貿易・投資自由化を議論する作業部会(物品貿易、サービス貿易、投資)の設置を提案しました。

 

これに対してASEANは、同年11月の東アジア首脳会合・ASEAN+3首脳会合において、ASEAN+3とASEAN+6とを区別しない、新たな枠組みとして東アジアの包括的経済連携(RCEP)構想を提案しました。あわせて、16カ国の間で貿易・投資自由化に関する三つの作業部会の設置が合意され、RCEPの枠組みの下での広域的な経済連携に関する具体的な検討が本格化しました。

 

RCEP交渉開始に向けて

 

2012年4月のASEAN首脳会合においては、2012年11月までにRCEPの交渉開始を目指すことが決定されました。同年8月には、第1回ASEAN+FTAパートナーズ大臣会合が開催され、16カ国は、物品貿易、サービス貿易、投資の自由化に関する検討の進捗を確認するとともに、RCEPの交渉の目的や原則を示した「RCEP交渉の基本指針」をとりまとめした。その後、同年11月の首脳会議において16カ国の首脳により、「RCEP交渉の基本指針」が承認され、RCEP交渉立上げが宣言されました。今後、2013年早期に交渉を開始し、2015年末までの交渉完了を目指し、取組を進めていきます。