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【政治・経済用語集002】アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)

2013年03月22日
【経済用語】アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)

目次

 

 

 

アジア太平洋自由貿易(アジアたいへいようじゆうぼうえきけん、英:Free Trade Area of the Asia-Pacific、略称:FTAAP(エフタープ))とは、アジア太平洋ワイド(APEC地域)の自由貿易圏を指す用語。2011年現在では明確な定義は存在しない。

 

経緯

 

2004年 - APECビジネス諮問委員会(ABAC)が同構想を提案。この時点では「複数の首脳から慎重な発言」があり、具体的な検討課題とはならなかった。

 

高まるAPECへの期待


-ボゴールゴールを超え、地域経済統合をめざす-

APECアジア太平洋経済協力)は、1989年の設立以来、アジア太平洋地域における関税・非関税障壁にはじまり、貿易・投資の手続きの簡素化を含む幅広い分野で、貿易・投資の自由化・円滑化、経済・技術面での協力を推進してきました。さらに近年では伝染病対策や食料安全保障などの人間の安全保障も重要な課題となってきており、本年は規制統一についてもとりあげられました。先進国・地域のボゴール目標達成年となった2010年は日本が議長となり、首脳会議で「横浜ビジョン」に合意、ボゴールを超えたアジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)構築に向け新たな一歩を踏み出しました。そして2011アメリカ年のAPEC首脳会談では、いよいよわが国もTPPへの交渉参加に向け、関係国との協議に入ることを表明しました。

 

ABACの役割


APEC首脳に直接提言する唯一の公式民間諮問機関-

ABAC(APECビジネス諮問委員会: APEC Business Advisory Council)は、APEC 21カ国・地域のビジネス界の代表(各国・地域よりそれぞれ最多3名)からなる、APEC首脳に対する唯一の公式民間諮問機関です。ABACには、アジア太平洋地域における貿易・投資の枠組みのあり方をビジネスの立場から議論し、首脳・閣僚に直接政策提言を行う機会が与えられており、APEC首脳会議に合わせ、ABAC委員とAPEC首脳との直接対話も実施されます。


ABAC日本は、三菱東京UFJ銀行の渡辺喜宏顧問、コマツの駒村義範副社長、三菱商事亀崎英敏常勤顧問の3名のABAC委員を中心に活動が展開されています。


(2012年7月現在)


ABAC日本支援協議会について


日本産業界の要望をAPECの政策に反映-

 

日本経済団体連合会日本商工会議所経済同友会関西経済連合会の全面的な支援を得て、1999年12月に『ABAC日本支援協議会』が設立されました。ABAC日本支援協議会は、ABAC日本委員と日本産業界との連携を深め、日本産業界の意見をAPECの政策に反映させるべく、次のような活動を行っています。

 

長期的展望としてのFTAAP構想

 

2006年 - 首脳会議(AELM)、閣僚会議(AMM)において、長期的展望としてのFTAAP構想の検討が指示された。

 

APECは、貿易投資自由化の大目標として、1994年のインドネシアAPEC首脳会議で合意された「ボゴール目標」を掲げている。

 

FTAAP構想は、WTOドーハ・ラウンド交渉が難航し、日中韓及びASEAN諸国がAPEC参加国同士で多くのFTAを結ぶ中で、APEC域内で多数のFTAが錯綜する状況を解消しつつ、ボゴール目標の達成をはかるための一案として始まった。

 

2004年のABAC委員の中には慎重論もあったようであるが、「FTA先進国」と言われるチリが議長国であったことなどもあり、ABACは2004年のAPEC首脳会議にFTAAP構想の実現可能性の検討を提言した。

 

しかし、FTAAP実現への動きはAPECの基本的性質・原則を大きく変質させることになる。また、グローバル・レベルではWTOドーハ・ラウンド交渉、地域・二国間レベルでは多くのFTA交渉が進展している中でFTAAPを追求することは既存の取り組みに負の影響を与えかねないからである。さらに、APECの全てのメンバーが参加するFTAAPの実現は長期的課題であり、短期間で実現出来るものではない。これらの点を十分に承知しているため、APEC首脳は政府間で正式にFTAAP構想の検討を始めることに慎重姿勢を示した。2005年のAPEC首脳会議の宣言にはFTAAPという単語は登場していない。つまり、APECでは、FTAAP構想は現時点で議論するに値しないものと捉えられていたのである。

 

2006年のAPEC首脳会議で最も積極的にFTAAP構想を支持したのは米国だと言われている。その背景にはアメリカの政策転換があり、アメリカが抜きで進む東アジア経済統合の制度化に対する牽制であるとの見方がある。

 

以降、FTAAPは2007年に策定された地域経済統合(REI)の議論の中で、目指すべきものとして位置付けられていて、研究やダイアログ等の活動が行われている。2009年のABACから首脳への提言に「FTAAP立ち上げに向け、2010年半ばまでに枠組みを定義し2010年の首脳会議で決定すべき」と記載された。

 

2010年10月8日に日本の菅直人首相は、TPP交渉への参加を検討し、アジア太平洋自由貿易圏の構築を視野に入れ、APEC首脳会議までに、経済連携の基本方針を決定する旨指示した

2010年10月13~14日に開かれたAPEC首脳会議の首脳宣言において、FTAAPは「ASEAN+3、ASEAN+6及び環太平洋パートナーシップ(TPP)協定といった、現在進行している地域的な取り組みを基礎として更に発展させることにより、包括的な自由貿易協定として追求されるべきである」され、「APECの地域経済統合の課題を進展させるための主要な手段である」と位置付けられている。

出典:wikipedia

 

【リンク】
http://www.zenchu-ja.or.jp/food/wto/wtokanrenyougo/131.html

(Free Trade Area of Asia-Pacific:FTAAP)

 もともとは、2004年にチリで開催されたAPEC首脳会議の際にABACが提言したAPEC構成国での自由貿易協定。その後、2006年にベトナムで開催されたAPEC首脳会議では、「長期的展望として、地域経済統合を促進する方法及び手段についてのさらなる研究を実施し、来年のAPEC首脳会議に報告すること」とされた。翌2007年にオーストラリアで開催されたAPEC首脳会議では、FTAAPの展望を検証することとされた。


参考:APEC
【リンク】 経済産業省

 

APECの概要


 アジア太平洋経済協力(APEC)は太平洋を取り囲む21の国と地域の経済協力枠組みです。APECには、多種多様な国と地域が参加しているため、APECメンバーの国・地域を指す場合には「エコノミー」と呼んでいます。世界のおよそ半分のGDP、人口、貿易額を占めており、活発な貿易・投資をエンジンとして世界の成長をリードしています。

 

1.設立経緯とAPECの意義

 

 1980年代後半、外資導入政策等によるアジア域内の経済成長、欧州・北米における市場統合の進展により、アジア太平洋地域に、経済の相互依存関係を基礎とする新たな枠組みの必要性が高まりました。1988年には通商産業省(当時)内で「アジア太平洋貿易開発研究会」が設立され、日本を取り巻くアジア太平洋地域について検討が始まりました。


 1989年、日本からの働きかけもあり、ホーク・オーストラリア首相(当時)は、アジア太平洋地域の持続的な経済発展及び地域協力のための会合の創設を提唱しました。これを受けた形で米国、ASEAN等においても次第にAPEC構想の実現に向けた機運が高まり、同年第1回APEC閣僚会議がキャンベラ(オーストラリア)で開催されました。1993年からは、米国の主導によりAPEC首脳会議が開始されました。


 現在、アジア太平洋地域では、ASEANASEAN+日中韓、東アジアサミット(※)のほか、環太平洋戦略的経済連携(TPP)など様々な枠組みが重層的に存在しています。日本は、APECにおいて、米国やオーストラリア等の先進エコノミーと連携しながら、アジア等の途上エコノミーに対して様々な協力を行うとともに、貿易と投資の自由化・円滑化に向けた努力を継続し、APEC全体が成長していくことを目指して積極的に参加しています。


 日本は、2010年にAPEC議長をつとめました。今後の議長エコノミーは、米国(2011年)、ロシア(2012年)、インドネシア(2013年)となっています。

 

(※)東アジアサミットとは、ASEAN10カ国と日本、中国、韓国、インド、オーストラリア、ニュージーランドの首脳による枠組み
 2011年から正式に米露に参加を要請した。

 

2.基本理念

 

 1994年、ボゴール(インドネシア)で開催されたAPEC首脳会議で、ボゴール目標(先進エコノミーは2010年までに、途上エコノミーは2020年までに、「自由で開かれた貿易と投資を達成する」)に合意しました。この目標達成に向け、APECメンバーは、以下の3つの分野(APECの3本柱)を基本理念として議論や協力を行っています。

 

貿易と投資の自由化
ビジネスの円滑化
経済・技術協力

 

3.APECのメンバー

 

1989年発足時の12メンバーが次第に拡大し、現在21メンバー(2010年までメンバー拡大を凍結)。

1989年 :オーストラリア、ブルネイ、カナダ、インドネシア、日本、韓国、マレーシア
       ニュージーランド、フィリピン、シンガポール、タイ、米国
1991年 :中国、中国香港、チャイニーズ・タイペイ
1993年 :メキシコ、パプア・ニューギニア
1994年 :チリ
1998年 :ペルー、ロシア、ベトナム

 

4.APECのこれまでの取組

 

 APEC首脳会議は、1993年に米国のシアトルで始まり、翌年の1994年には、ボゴール目標(BG)が策定されました。以来、APECはボゴール目標を達成するために、1995年大阪行動指針(OAA)、1996年マニラ行動計画(MAPA)、2005年釜山ロードマップ、2006年ハノイ行動計画などを策定し、具体的な取組や議論をおこなってきました。また、2001年の米国同時多発テロ以降、テロ対策など安全保障関係のトピックもAPECの議題の一部となり、2008年に起こった世界的な経済危機では、持続的であまねく広がる経済成長についても新たに議題に加わりました。このようにAPECでは、その時々の世界情勢に、APECが一体となって対応するための議論も行ってきました。
  そして、2010年、先進エコノミーがボゴール目標の達成年を迎え、その評価と経済危機から回復した後の新たな方向性の提示を行うことに対し、注目が集まっています。

 

5.アジア太平洋における重層的枠組み

 

 東アジア地域にはASEAN自由貿易連合(AFTA)、東アジア自由貿易協定(EAFTA)、東アジア包括的経済連携(CEPEA)が、米州地域には北米自由貿易協定NAFTA)が、東アジアと米州をつなぐものとしては環太平洋連携協定(TPP)があり、アジア太平洋地域には、数多くの経済枠組みや研究・交渉中の構想が存在しています。そして、これら多くの枠組みを包括しうる長期的な展望として、APECには、アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)構想があります。このFTAAPに具体的な定義はありませんが、貿易と投資の自由化やビジネスの円滑化の象徴として、実現すべきことの重要性がAPECで繰り返し主張されています。