【思想・哲学002】言語の限界状況と人間的願望
2010年02月28日
愚かな構造主義
my日本からの転載
mixiからの転載
私がしたいことは、おそらく私が触れた言葉の隙間を埋めようとする作業でしかないのではないか。それは心の隙間を埋めたいという願望に近いかもしれない。そして私が言葉の隙間を埋めようとする行為を他人に公開するあるいは公開したいという願望は恐らく私と同じ隙間をもった人を想定しているためではないだろうか。
目次
言語と理解
文法とは何かという問いに対して、我々が文字言語を使ってそれを説明する限り、何物か解らないはずの文法形式を用いてそれを説明しなければならない。
また、単語の意味とは何かという問いに対しても、我々は文字言語を使っている限り、何物か解らないはずの意味をもった単語を用いてそれを説明しなければならない。
限定的に文字言語としたが、仮に文字言語とは違うものを用いても我々は何物か解らないはずのものを用いてそれを説明しなければならない。
言葉とその対象
単語に関して言うと文字言語に対してその文字言語の表現する感覚的対象があるが全ての単語が明確な感覚的対象を持っているとは言えない。
また、その対象も複合的であり、人それぞれその感覚は複合的であるが故に差異があるというのはいえるだろう。たとえば「まる」といっても人それぞれ想像するものは違うし、同一人物でもその時々によって異なる。まして抽象的な単語なら猶更である。
何かを考えている時、複合的な論理・想像・気分・感覚が沸き起こるが、その時に同時に沸き起りえない論理・想像・気分・感覚というものがあるということを我々は想像し得る。そしてそのために、いいやそのためだけでは決してないが、我々はしばし大きな過失を犯す。
認識と言語
文章を単位時間辺りに目を通せる量はおおよそ決まっている。早すぎても遅すぎてもそこには認識するための問題が生れてくる。そのペースが早ければいいという訳でもなく、遅ければいいという訳でもなく、ここにはある一定のペースの範囲内での個人差があり、その文章を読んでの脳内作業の過程も異なると言ってよい。
文を構築するにあたり、たったこれだけの前提を無視した言説があまりにも目立つ。無視するとは肯定も否定もせずにこういった前提の存在自体を知らないか知っているのに活用しないかのいずれかであろう。
ただし、こういったことあるいはそれに類似する前提としてあげるにふさわしい命題を逐一文章に挿入することも馬鹿馬鹿しい。それと同時にその馬鹿馬鹿しさを知らないこともまた馬鹿馬鹿しい。
私は真理を求めようという気は全くない。文章を構築して表現されるものは論理的なものであり、論理である以上、論理でしかない。私が論理的に正しいという時、それは道徳的に正しいという意味でも、真理であるという意味でもない。
私が論理的に正しいといった場合、それを進んですべきだという意味でもないし、それをすれば目標が達成されるという意味でもない。そういった前提の上で論理的に正しいという表現を使用するだけである。
道徳的価値観と真理
人が道徳的に正しいという場合、私は私の解釈に従えば、彼のある論理の中で正しいという意味にしか捉えない。それはある価値観に適合するからそう言ったのだろうと解釈する。そしてそれ以外のそれと矛盾する価値基準が存在していることが忘れられているか、それを知らないか、あるいは知っていながらそちらを彼の論理の中で否定しているか(もし彼が提示した論理を全て論理的に構築していけば論理的に破たんしている可能性もあるだろうが、そんなことはここではどうでもいい)であるということも同時に思い描けるということを思う。
人が何か正しいという場合、そこには限定的な領域が存在する。人はこの領域を想像しなければ論理を構築できないのは明白である。その限定的領域をもつことは人間的であり、それは時に宗教的である。宗教的であるという意味では正しいという判定は苦痛から逃れる論理的な道具として使用されると言えるかもしれない。
ここまで読んでここに書かれたことに違和感を感じるならば、また初めから読み返して欲しい。そうしてもらえれば、違和感を感じることが当然のことと思うだろう。
認識と表現の限界と限界的状況にあるということ
私が愚かな構造主義といったとして、もし私がそれを超えるものを創出したいと思っていると捉えてもらっているのならそれは全くの誤読だと私から言わせてもらわなければしかたない。
文脈と行間の埋まることのない限界状況と人間的願望
私がしたいことは、おそらく私が触れた言葉の隙間を埋めようとする作業でしかないのではないか。それは心の隙間を埋めたいという願望に近いかもしれない。そして私が言葉の隙間を埋めようとする行為を他人に公開するあるいは公開したいという願望は恐らく私と同じ隙間をもった人を想定しているためではないだろうか。